賃貸経営を行っている不動産オーナー様にとって、税金の支出はビジネス運営上の大きな負担となりえます。
所得税や住民税といった税金が、高い利益を期待する賃貸ビジネスの障壁となることもしばしばです。
しかし、節税対策をうまく取り入れることで、その負担を軽減し、不動産投資をさらに有利に進めることが可能となります。
今回は、リノベーションを活用した節税対策に焦点を当て、そのメリットと実施方法について解説します。
賃貸経営をさらに効果的に、そして合法的に行うための手法を、本記事を通じて学びましょう。
◆1.節税対策にリノベーションを活用する事のメリット
リノベーションを行うことで賃料を上げることが可能となり、それによって収益が増えます。
さらに、このリノベーションにかかる経費は申告時に経費として計上できるため、税金の負担を減らすことができます。
リノベーションと節税対策の連携を熟知すれば、不動産オーナー様は賢く節税対策を行う事ができます。
ここでは、節税対策にリノベーションを活用することの様々なメリットを見てみましょう。
①賃料の上昇
リノベーションを行うことで、賃貸物件の価値が上昇し、それによって賃料を引き上げることが可能になります。
これは直接的に収入の増加をもたらし、投資回収を早める効果があります。
②節税効果
リノベーション費用は経費として計上することが可能です。
これにより所得を抑えることができ、所得税や住民税の負担を軽減することができます。
③物件の価値増加
リノベーションを行うことで物件自体の価値が上昇し、将来的に物件を売却する際の評価額を高めることができます。
これは長期的な投資戦略として有効です。
④入居者満足度の向上
リノベーションを行うことで、入居者の満足度を高めることができます。
新しい設備や快適な空間は入居者の満足度を向上させ、長期間の入居を促す要因となります。
⑤ 空室率の低下
リノベーション済みの物件は魅力的であり、空室が埋まりやすくなります。
これによって空室率が低下し、安定した収入を得ることが可能になります。
⑥ 維持・管理費の削減
古い設備や内装は頻繁に修理やメンテナンスが必要となります。
リノベーションによって新しい設備を導入することで、維持・管理費用を削減することが可能になります。
⑦エコリノベーションの導入
エコリノベーションを採用することで、環境への負荷を減らすとともに、エネルギー効率を向上させることができます。
このような取り組みは、国や地方自治体からの補助金や税制優遇を受けられる場合があります。
⑧他物件との差別化
リノベーションを行うことで物件に個性を持たせることが可能となり、他の物件との差別化を図ることができます。
これにより、特定のニーズを持った入居者にアプローチすることが可能となります。
これらのメリットを最大限に活用することで、賃貸経営を成功へと導くことが可能になります。
また、節税対策と組み合わせることで、より効果的な賃貸経営を目指すことができます。
◆2.節税対策のポイント
リノベーションを活用した節税対策を行う場合は、重要ないくつかのポイントがあります。
所得税の税対策にはポイントがあります。
節税対策は法律に則った範囲内で行う必要がありますので、正確な知識と理解が必要となります。
所得税は「利益」に対して課税されるので、実際には収入を上げながら、経費を増やし、利益を圧縮させ、税引き後の手取りを最大化する事が重要になります。
つまり、経費を増やす事は節税効果になると言えます。
実際にリノベーションという投資は、空室対策の中でも大きな金額がかかるケースが多いので、躊躇があるでしょう。
しかし、リノベーションによって家賃を引き上げる事ができるので、実際に投資した金額を回収していく事ができます。
さらには、リノベーションする事で、物件に入居がうまり「空室損」を減らすこともできます。
また、注目すべきポイントは、税引き後の手取り金額です。
経費をかける事で、前述したような所得税の計算をすると、結果として手取りが増える計算を出すことができます。
さらに、減価償却の計算によっても節税効果を得ることができます。
のように、賃貸経営をする時は、税引き後の利回りを意識して、キャッシュフローを分析して運営していく事が重要です。
リノベーションを活用した節税対策では、税引き後のキャッシュフローの分析が不可欠です。
実際に、不動産オーナーの方に、いくつかのリノベーション計画による、それぞれのキャッシュフローの分析を見ていただく必要があります。
例えば、
・現状維持だけのリフォームを行った場合
・フルリノベを行った場合
・ミドルリノベを行った場合
・設備の交換とワンポイントリノベを行った場合
それぞれの税引き後のキャッシュフローを比較して、分析した結果を見ていただく事で、納得のいくリノベーションと節税対策を行なっていただくことができます。
賃貸管理会社と、不動産オーナーが投資計画をしっかり共有することが不可欠です。
◆3.修繕費と資本的支出についての理解
リノベーションを活用して、節税対策を行う上で、経費となる「修繕費」と「資本的支出」の区別と理解が重要になります。
この違いをしっかりと理解して、税金の対策に活用してください。
修繕費とは、建物の機能を回復するための費用を指します。
つまり、通常としては、原状回復として行うための部分的なリフォームです。
例としては
・クロスの張り替え
・クッションフロアの張り替え
・水栓の修理
・網戸の張り替え
・外壁塗装
などが挙げられます。
尚、この経費は、初年度に一括で経費計上します。
資本的支出とは、機能を向上させるための費用のことを指します。
例としては、
・クッションフロアからフロアタイルにリノベーションする
・和室から洋室にリノベーションする
・間取りを変更する
・シーリングライトからダウンライトへの交換
・冷蔵庫など置き式の家電を導入する
などが挙げられます。
尚、この経費は、初年度から減価償却資産として経費計上することができます。
実際に、経費としてかかったものが、修繕費となるか、資本的支出になるかは迷ってしまうことがあるでしょう。
そんな際に、以下のポイントが判断の目安になるので、参考にしてください。
・ポイント1:かかった経費が20万円以下の場合は、目的が機能向上だとしても金額的に「修繕費」に分類する
・ポイント2:20万円を超えた場合、周期の短い(おおむね3年以内)の費用の場合は「修繕費」に分類する
・ポイント3:周期が短いという判断でも、明らかに機能向上の目的があれば「資本的支出」と判断する場合もある
・ポイント4:ポイント3で、機能向上の目的でもなく、さらに60万円未満の場合は修繕費と判断する
・ポイント5:60万円以上の場合でえ、前年末における取得価格の10%相当以下の場合は修繕費に分類
・ポイント6:ポイント5で、前年末における取得価格の10%相当より高額の場合は資本的支出に分類
◆4.まとめ
賃貸経営を成功させるためには、節税対策が不可欠です。
そしてリノベーションは、その有力な手段として位置づけられます。
リノベーションを行うことで賃料の上昇や物件価値の増加を図り、税負担の軽減を実現できます。
しかし、ただリノベーションを行うだけでは十分ではありません。
適切な計画立案から税法の理解、そして補助金の活用まで、多くのポイントを押さえる必要があります。
また、環境への配慮や市場トレンドの把握も欠かせません。
賃貸オーナーとして、これらのポイントをふまえつつ、戦略的なリノベーション計画を立てることで、長期的な資産価値の向上と節税を実現できます。
賃貸物件のリノベーションと節税対策に積極的に取り組んでいかれるために、今回の記事を参考にしてください。
なお、今回の記事に関する内容について、以下の動画をご覧いただくと、詳しい解説やわかりやすい事例をご覧いただけます。
▼関連動画はこちら
Renotta (リノッタ) 全国オーナーセミナー動画(2023/09/16にライブ配信)
▼節税対策についての記事はこちらをご覧ください